日本のキャッシュレス普及率は近年、徐々に向上していますが、依然として他国と比べて低い水準にあります。
以下では、日本の現状と、他国との比較を交えてその背景や課題について考察していきます。
1. 日本のキャッシュレス普及率
2022年における日本のキャッシュレス決済比率は36%で、これは主要先進国の中では比較的低い数字です。
例えば、韓国や中国など、キャッシュレス社会の進んだ国々と比べると、かなり遅れをとっているのが現状です。
特に日本では現金文化が根強く、日常生活においても現金が主流であり、スーパーや飲食店などでも現金決済を受け付けていることが多いです。しかし、近年のデジタル化の進展により、QRコード決済やクレジットカードの使用が増加しています。2020年のコロナ禍を契機に、接触を避けるためのキャッシュレス決済の利用が促進され、徐々に普及が進んでいるのも事実です。
2. 他国との比較
韓国
韓国はキャッシュレス決済の先進国として広く知られています。韓国のキャッシュレス決済比率は90%を超えており、その普及率の高さは驚異的です。韓国政府は早期からキャッシュレス社会を推進しており、スマートフォンを利用したQRコード決済やデビットカード、クレジットカードの利用が非常に普及しています。韓国の銀行システムや決済インフラが非常に高度であるため、消費者も安全かつ便利にキャッシュレス決済を利用できる環境が整っています。
中国
中国ではキャッシュレス決済が非常に広く普及しており、特にQRコード決済の利用が圧倒的です。WeChat PayやAlipayといったモバイル決済アプリが広く利用されており、街中での支払いは現金を使わず、スマートフォンをかざすだけで支払いが完了します。2023年の時点で、中国のキャッシュレス決済比率は約84%に達しており、現金の使用頻度は非常に低くなっています。
アメリカ
アメリカのキャッシュレス決済の普及率は約60%程度で、カード決済が主流です。特にクレジットカードとデビットカードの利用が多く、オンライン決済も進んでいます。また、スマートフォンを使った決済(Apple PayやGoogle Pay)も急速に広がっており、キャッシュレス社会の進展が見られます。ただし、現金の使用頻度は依然として高く、一部の地域では現金のみの取引も存在しています。
3. 日本の課題と展望
日本のキャッシュレス決済普及率が他国と比べて低い要因としては、以下のような点が挙げられます。
現金への信頼: 日本の造幣技術は世界でも高く評価されている背景から、現金に対する信頼感が高いです。海外に比べ偽造紙幣が流通することもほとんどなく、キャッシュレスよりも安心して使うことができるというイメージが持たれています。
高齢者層のデジタルリテラシー: 超高齢化社会が問題視されている日本では、一部の世代でスマートフォンやカード決済に対する抵抗感が強い場合があります。
決済インフラの整備不足: 一部の小規模店舗や地方では、キャッシュレス決済の導入が進んでいないことがあります。
しかし、今後は政府のキャッシュレス決済推進政策や、企業の積極的な取り組みにより、キャッシュレス化が進むと期待されています。例えば、「マイナンバーカード」の普及や、QRコード決済の利便性向上、消費者へのインセンティブ提供などが効果を上げています。
4. 2024年の統計結果 - キャッシュレス使用比率


※出典:一般社団法人キャッシュレス推進協議会-「キャッシュレス・ロードマップ2024」 ※以下一部抜粋
キャッシュレス支払額全体に占める決済手段別の割合にて、クレジットカードの割合は徐々に減少しつつあるものの、83.5%と極めて高い水準 にあることが確認できます。またキャッシュレス全体の利用額は伸びている状況にあるため、クレジ ットカードの決済手段間でのシェアは減っていても、利用金額を前年と比較すると 12.7%増と、1割以上の伸び。 コード決済は、全手段の中でもっとも増加率が高く、利用額を見ても、コード決 済は 2020 年にはデビットカード、2022 年には電子マネーを抜き、クレジットカー ドに次いで日本で2番目に利用されている決済手段となっています。
5. まとめ
日本のキャッシュレス決済の普及率は依然として他国と比べて低いものの、今後の成長が期待されます。政府は2025年までにキャッシュレス決済比率を40%まで引き上げ、将来的には80%以上の水準を目標に掲げています。韓国やアメリカ、中国といったキャッシュレス先進国に倣い、日本も更なるインフラ整備と消費者の意識改革を進めることで、キャッシュレス社会に向けた転換が進むでしょう。